text by Ishida 忙しい毎日 住い手であるご夫婦は共働きで、子供もまだ小さく、二人目を出産予定でした。 朝の時間帯が特に慌ただしく、朝食の用意、子供の準備、洗濯と、ご夫婦で分担されていました。 平日、家族全員が一緒に食事ができるのが朝食のみであり、家族のコミュニケーションという意味では、朝が特に重要な時間帯でもありました。 桜並木に面する敷地 敷地の特徴はなんといっても東側にある桜並木の緑道に面していることでした。春の桜はもちろんですが、この緑道が年中、敷地に緑を提供してくれます。それに加え少し高台にあるので、2階レベルからの眺望が非常によい敷地で、敷地条件としては、とても恵まれていました。 敷地環境 朝のコミュニケーションを大切にする 設計に当たっては、夫婦共働きの忙しい生活を支えながらも、日常を気分よく有意義に過ごせる住まいを心掛けることにしました。 一番最初に考えたことは、朝の慌ただしい時間ではあるけれど、少しでも心地よく食事や会話ができるように、ということでした。具体的には、朝日が入る東側の桜並木の眺望を切り取るようにピクチャーウィンドウとし、朝に一番気持ちのいい場所をダイニングとしました。私たちは、ダイニングこそ家の中心であり、大切なコミュニケーションの場だと思っています。 朝、2階から起きてくると、必ず朝日と同時にきれいに切り取られた景色が飛び込みます。自然とそこに人が集まるような、そんなダイニングをめざしました。 朝日の入るダイニングからの眺め 休日には、ご主人の希望であった薪ストーブが、忙しい平日の疲れを癒す絶好の装置として機能するように、ダイニングとリビングの中間に設置しています。 また、家に帰ってきたときの安心感の為に、なるべく家全体の気配がわかるように、部屋全体が見渡せるようなプランとしています。 洗面、お風呂、洗濯を2階にするという選択 家事動線について、家事負担の軽減、奥様の洗濯、洗濯干しの乾燥状態のこだわり(毎日のストレス軽減)、ご主人のお風呂からの眺望のこだわり(忙しい平日のささやかな癒し)、これらの条件を満たす家事動線を考えた結果、2階に水廻り(お風呂、洗濯室)を配置することにしました。 2階に水廻りがあるメリットは、①脱衣・洗濯、②物干し、③たたむ、④収納、これら全てが同じ階で行われ上下階移動がないということです。もちろん、お風呂が2階にあるのに抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。 1階に水廻りがあると、家事が集約できると考えがちですが、衣類は結局、2階の寝室にもって上がることになります。このように、よく考えると、どちらにもメリット、デメリットがあることがわかります。 結局は、家事動線の正解は一つではないということであり、人それぞれの動線の正解がある、と言えます。私たちは、このように、それぞれの生活に合った家事動線を考えるようにしています。
外観・植栽について
植栽を含む外観については、当初、森の自然の中にあるような佇まいとしたいという要望でした。 そのイメージに一番合うのは、板壁と緑の植栽の組み合せだと考えたので、予算やメンテ上の考慮もあり限定的ではありますが壁に板を張りました。 また、植栽については、住い手さんが地元で探してこられた『 planta 』さんにお願いしました。 予算も限られた中で、頑張って頂いてとても感じのよい植栽になりました。 こういう出会いは本当にいいなあ、と思いました。 まだまだ植栽は少ないですが、これから時間をかけて植栽を増やされていくことと期待しています。 そのときになって初めてこの家も森の自然の中にある佇まいにより近づくのではと思っています。
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